医師国保のメリット、デメリット?~社会保険と違う点について~

医師国保をご存じですか?

私は妻の職場が、医師会に入り法人化となることで、初めて医師国保という言葉を知りました。

通常なら、クリニック・法人などで雇用されるなら社会保険じゃないのか?

と、思いますよね。

しかし医師会に入った医師は医師国保という選択肢が増えるのです。

これには、転職を考えている方…特に女性の方は出産時についてお伝えしておく点がありました。

今回は、その事情も含めて医師国保について解説していきます。

今回の記事でわかることは?

医師国保のメリット
・保険料の支払いが一定
・社会保険より、保険料負担が低くなる
・会社側の保険料負担が軽減
医師国保のデメリット
・出産手当金、傷病手当金がないもしくは低額である
・給与が低くなっても保険料が変わらない(准組合員)
・産休、育休に入っても保険料を払い続ける必要がある
・扶養者は、人数分の保険料支払いが必要である

※以下、准従業員=准組合員です。

目次

医師国保とは?

医師国保とは、事業主である医師が所在地の医師会に加入することで組合員として入ることができるようになる医師会の国民健康保険の略称です。

通常、クリニックの法人化や従業員が5人以上いる事業所なら社会保険の加入条件が適応となります。

しかし事業主が保険の費用負担を考えた際に医師国保を選択する場合があるのです。

社会保険の適応があっても、事業主が各従業員毎に健康保険被保険者適応除外申請を行う事で医師だけでなく、従業員も医師国保に加入させることができます。

この場合に、医師は組合員、看護師など従業員は准組合員となります。

社会保険との違いを加入前に確認しよう!

給付事業の違い

協会けんぽなどの社会保険と違い、給付内容は国民健康保険が基盤になります。

そのため社会保険ほど、従業者にとっての給付事業は強くありません。

特に大きな違いは、傷病手当金と出産手当金がない、もしくはあっても少額ということです。

都道府県により、手当金を設定してくれている組合もあるので、要確認になります。

保険料の違い

協会けんぽなどの社会保険や通常の国民健康保険は、収入に合わせて保険料が変動します。

しかし、医師国保で准組合員になる従業員の方は保険料が一律になります。

これは収入がどれだけ高かろうが低かろうが変化しません。

ちなみに、組合員と家族、准組合員の家族に関しては、保険料の減額制度があります。

また国保扱いであるため、産前産後休暇・育児休業中に関して保険料の免除はありません

さらに、社会保険で行われる事業主との保険料折半に関しては、医師国保では基本従業員が全額支払う事になります。

事業主の負担義務はありません。

それでも、事業主判断で折半を行っているところもあります。

従業員を診察した場合、保険請求ができない

小さなクリニックでは、よく従業員を診察し処方箋を出したりしていると思います。

しかし、医師国保となると自家診療は保険適応外となります。

協会けんぽなどの社会保険であれば、保険適応になり行ってくれるところもあるでしょう。

医師国保では、資源の適正使用を図るため自家診療は、保険適応外となっています。

Q&A

出産手当金がないなら育児休業手当金もないのか?

これは安心して下さい。

出産手当金は健康保険の管轄になりますが、育児休業手当金は雇用保険の管轄になります。

雇用保険は、事業規模や業種に関わらずに一定の所定労働時間・期間の労働があれば加入義務が発生するものです。

雇用保険に加入できていることが確認できれば、育児休業手当金はもらえますので安心してください。

それでも必ず職場の事務さんなりに、育休手当が出るか確認してくださいね!

就労についてからの期間などの制限もありますので。

保険料免除がないって、雇用保険や厚生年金も支払いつづけるの?

保険料免除とならないのは、医師国保に対してだけになります。

そのため扶養者も加入しているなら、扶養者の分も毎月休業中に支払わなければなりません。

雇用保険は、労働で得る賃金に対して保険料が発生するものです。

なので賃金が発生していない月に雇用保険の保険料は引かれません。

また厚生年金は、年金事務所等へ申請書を出すことで保険料支払いが免除になります。

そして免除期間になるので、きちんと支払った期間として加算されますね。

年金は必ず厚生年金なのか?

必ず、厚生年金になるとは限りません。

事業所規模で社会保険適応にならない場合は、国民年金が選択肢に入っている可能性もあります。

法人であれば、基本厚生年金が適応となるのですが、これに関しては勤めようと思う事業所・クリニックに事前確認してください。

国民年金となれば、将来の年金受給額に影響があるため気になる方もいますよね。

兵庫県を一例に、社会保険である協会けんぽとの比較

標準月額50万の場合で記載しています。

保険料折半の有無実質差額扶養者負担年金種類
医師国保18500基本全額従業員
(事業主次第で折半)
₋10925保険料負担あり厚生年金
国民年金
協会けんぽ58850事業主と折半(↑折半後の差額)保険料負担なし厚生年金

兵庫県医師国保の出産手当金

加入6ヶ月以上で引き続き勤務する准組合員に対して日額3000円が給付される

兵庫県医師国保の傷病手当金

加入1年以上経過した准組合員に対して、入院初日より日額4000円が給付される

通算支給日数は、180日間となる

まとめ

今後、出産を考えている女性従業員は、医師国保を再認識しておこう!

医師国保だから、お勧めしないというものではありません。

ただ、きちんと内容を確認した上で加入しておくべきだと考えます。

特に働く女性にとって、出産手当金はとても貴重な収入源でしょう。

3ヶ月近く分の、その手当金は決して少なくありません。

しかし保険を十分確認せずに、出産手当金ありと思い動いていると、のちに資金面で痛い目にあいます。

育児休業手当金が入るとしても、産休に入った期間から考えると給付金が入るのは5ヶ月ほど後になります。

医師国保を選ばれるのであれば、少なくとも3ヶ月分以上の給与額の積み立てを出産時に備えしておくことをお勧めします。

私自身も、今後の事を考え3~4ヶ月分程度の生活防衛資金を保持しておこうと誓いました。

追記

社会保険の方が給付事業が充実するのは事実です。

しかし、私たちはその分保険料を支払い続けているので場合によればとても大きい額を社会保険のために掛けていかなければなりません。

医師国保は保険料は一定です。

その差は手取りでもらえる給与に、そのまま反映されるでしょう。

どちらにも一長一短があります。

自身のライフタイルや考え方に合わせた選択をしていく事に繋がる記事になれば、うれしい限りです。

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